広大な大地、機械化が支える、世界一の珈琲生産国
「ブラジルの人、聞こえますか!」と地面に絶叫するお笑い芸人がいる。まさに日本の裏側。距離は物凄く遠いが、日本とはなじみ深い国だろう。アイルトンセナ、ロベカル、ジーコと日本人にもファンの多い著名人も多数。昨今の経済発展は著しく、W杯やオリンピックが開かれたことも記憶に新しい。
サッカー、カーニバル、そして、コーヒーでも王国だ。世界一の珈琲豆生産量を誇る国、ブラジル。世界シェアの3割、ダントツの1位、2位のヴェトナムの18%とは圧倒的な差。主な地域はサンパウロ州、ミナスジェライス州、バイーア州など。サンパウロ州セラードなどでは、収穫や精製が機械化された大規模農家も多く、その数はおよそ30万。これらが世界一の生産量の、安定した品質の礎をなしている。
明治期より、日本からの移民も多く受け入れられてきた歴史から、日本名がつく農園もあり、コーヒーでもブラジルは日本になじみ深い。高度経済成長期、慶応の大学生らが、銀座でブラジルコーヒーを飲むことを「銀ブラ」と言い出し、いわゆる日本のコーヒーの、ファーストウェーブの火付け役にもなった。
その規格は、No.1からNo.8までの等級に分かれる。ただ、自然の農作物で欠点が全くないことはなく、その基準の厳しさからブラジルの規格に「No.1」は存在しない。「No.2」が事実上の最高ランク。スクリーンサイズは最大の20から13までに分別される。これらの基準はブラジル式と呼ばれ、世界基準のひとつ。それは、近年に生まれてきたもう一つの世界基準、スペシャルティコーヒー協会のCQIカッピング基準とはやや異なり、欠点が少ないのを良しとし、短所が少ないことを重んじる。反してアメリカ式のCQIでは特徴のある風味、長所が明確なことを尊ぶ。
その味わいは、欠点を嫌うブラジルらしく、クセが少なく、コクがある。定番ともいえる。そして何より、広大な大地で機械化に成功していることより、大量に採れる。そのため、欠点が少ない高品質なものも安く手に入るのが最も世界から愛される理由だろう。もちろん日本でもブレンドコーヒーの基本ベース、そしてストレートのコーヒーとしても幅広く使われ、多くのファンを持つ。世界のコーヒー市場を支える王国であり、毎年のブラジルの収穫量がコーヒーの市場価格に与える影響はとてつもなく大きい。
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