コスタリカの北、ホンジュラスの南。
ニカラグアと聞いてどこにあるかと言える方は少ないだろう。「ほら、あのコスタリカの上だよ」としたり顔で言っても、「へー」と、友達を徐々に減らしていく人生の始まり。筆者もコーヒーの検定試験の時に、パスするために初めて場所を覚えた記憶がある。
場所は中米、このあたりはもれなく元スペインの植民地、独立してからも政治は不安定、教育も行き届かない。今も独裁者が支配する国のひとつ。ソロスという40年ほど続いた大統領の独裁から解放した革命の英雄、オルテガが、今はその独裁者にとって代わる。よくある、悲しい国。
そして、スペインに代わりアメリカがちょっかいをかけるのが中米あるある。ここニカラグアでも反政府組織コントラを支援し、経済制裁を多発するなど、経済はハイチに次ぎ中米では2番目に貧しい。社会は割れて、独裁者周辺のおこぼれに預かるものと、預かれないものに分かれる。
そんな国の真ん中には、滋賀県の琵琶湖のように、大きなニカラグア湖が横たわる。そこには淡水でも生きられるサメが住み、時々観光客の被害があるという。ただ今はこのサメをフカヒレにしようと、外国企業がサメを襲うようだ。この湖が、パナマのように運河になっていれば、国の発展は違っていただろうか。
しかし、コーヒーの歴史は古く、18世紀に伝わり、19世紀に国の産業の根幹となるほどに発展している。そのほとんどは大規模農園で、規模の大きさから、他の国よりも効率的に収穫を行えるのが売りだ。SCAJであった農園主はニカラグアの国土の1/10持っていると漏れ聞いた。そんな持つものが、持たないものを小作人にし、収穫期に効率的にコーヒーを摘ませ、コーヒーを通しても社会はより割れていくようだ。
そのコーヒーの味、香りは、マイルドで飲みやすく、甘いものが多いのも特徴。特にインドネシアの名産地、ジャワ島のティピカロングベリーに似ていることから「ジャバニカ」と名付けられた品種は、その甘い香りが際立つ。
ニカはもちろん、ニカラグアのこと。暗い話題、暗い墓標が転がる国に、ひととき光がさすような、甘く香るそのコーヒー。しかし、それを楽しく飲むのは、私たち先進国の方が多いだろう。「あ、これニカラグアのCOEで6位じゃん、うめー」というならば、その場所だけでも覚えておきたい。たとえ友人が少し減ったとしても。
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