スペシャルティコーヒーという名の希望。

ホンジュラス。とても有名なのは世界一の殺人率、つまり最も殺人が横行している国ということ。隣のエルサルバドルと一位二位を争うその高さ。もしかしたらそんな統計もしていない国が世界にはまだあるかもしれないが、ダントツに治安の悪い国なのは間違いない。親戚の方がホンジュラスに移住を考えていたら、ちょっと冷静になれと言ってあげても良いだろう。

治安の悪さの主要因はマラスというギャング、商店などまともに働く人に売り上げの半分をよこせなどと、みかじめ料を要求し、逆らえばそれこそ命はない。さらにはコカインをはじめとする麻薬の産地でも有名だ。

しかし、そんな国はコーヒーでも有名。良い麻薬産地はコーヒーの産地でもあるとはコロンビアでも聞く話だが、ホンジュラスでもそのようだ。2017年にはコーヒー大国エチオピアを抜いて世界で5位の生産国にも躍り出た。日本でもコーヒー産地としてのイメージが強い。まだ治安が良い方の山間部の多くのひとたちは、街でギャングにならず、真面目にコーヒー豆を生産して生計を立てている。

だが、ホンジュラスをはじめとする中南米では、2012年にさび病が大流行し、コーヒー豆の生産が最大80%減少、 推定170万人が仕事を失ったとされる。既に立ち直った地域もあるが、さび菌に感染したコーヒーの木が1本見つかると、農園全体が感染リスクにさらされ、感染した木は、葉が落ちて豆が育たない。植え替えても、新しい苗木が実をつけるまでには早くて4年かかる。

また世界一の生産量を誇るブラジルが、品種改良に成功し、収穫量が増したことなどでひきおこった供給過多による、世界的なコーヒー価格下落が、さび病との戦いに加えて、追い打ちをかける。多くの農家がさらに多額の借金をしてでもがんばってコーヒーを作るか、農家を辞めて、いっそのこと国を出るかの選択を迫られ、もうやってられないと辞める農家も多く、移民となりアメリカなどを目指す。

しかし、トランプ大統領になり、メキシコに壁を作らせるなどと息巻く今、アメリカに脱出するのもより難しくなってきた。今、ここでコーヒーをつくるしかない、そんな思いがまずは価格を自分たちでつけるべく、スペシャルティコーヒーの生産にもつながり、その発展は目覚ましい。そんなコーヒーは、世界一生きるのが難しい国の、とりあえず一筋残った希望かもしれない。



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