アフリカど真ん中、赤いヴェールを脱いだテロワール。

コンゴと聞くと、超絶に治安が悪い、いや、治安という概念はあるのだろうか。「なんくるないさ」という人がいっても、なんともならない、そんなイメージだ。インフラが乏しく、暴動や略奪が横行し、「ありがとう」という意の現地語がなく、「ありがとう」がない国という話も。知人で2人、行った人もいるが「あ、死んだかと思った」と、どちらもいわれる。「ちょっと今度の週末、コンゴ行かない?」とは、なかなか言い出せない国だろう。

しかしながら、世界トップクラスに地下資源がある国、虎穴に入らずんば虎子を得ずと、世界各国の様々な思惑の団体がコンゴを目指す。これらは「VIRUNGA」というネットフリックスのドキュメントを見ただけの浅い知識、しかし同国の危険と魅力を知るには十分すぎた。安全にのんきに暮らしたい、そんな私が、地下資源の少ない国に生まれたのは、幸いなことかもしれない、と。外国勢力が資源を狙い、大統領を買収するか、真面目な大統領なら、その反乱分子に武器を渡し、紛争や内乱をおこさせる。欧州の裏庭とも呼ばれるアフリカ。幕末の日本に来たような欧米の帝国主義がまだ続いているようだ。

帝国とは、植民地をもっている王国という意味。彼らの歴史にあらわれた当初、コンゴは3つに分断され、ベルギー、フランス、ポルトガルの植民地。そのひとつがこちら現在のコンゴ民主共和国、その統治者はベルギー、最初はベルギー王だけのための私有地だったという。ベルギーといえば、蕩けるような甘いチョコを作る国という印象だが、この頃はコーヒー作りに熱心で、その姿勢は激辛。生産現場での圧制は苛烈を極めた。

さて、そんな珈琲産地としては、アマゾンに次ぐほどの広大な自然と熱帯雨林。コンゴ盆地はロブスタ種が発見された起源としても有名、栽培は東部の北キヴ州と南キヴ州が主要地域。中央アフリカの他国、ルワンダ、ブルンジに比べると、アラビカ、スぺシャルティコーヒーシーンでの知名度は低いが、その分、ポテンシャルは断トツだとコーヒーに精通する欧州のインポーターは口を揃える。キヴ3グレードといわれるスペシャルティランクの珈琲を飲むと、深く納得。まるで、コーヒーの魅力そのものではないかと思える、魂の奥深くまで震わせる、アフリカの最奥部の底知れないテロワール。

行きたくはない。しかし毎年、手にしたい。まるで新大陸からの香料や作物を待つ、大航海時代の市民のよう。
同国で何がおこっているかは、まだネットフリックスでしか知らない。



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