盗んだ珈琲で、走り出す。7粒から世界8位のコーヒー生産国。

紅茶の生産で名高いインド。19世紀に長く英国の支配下であった歴史から紅茶のイメージが近い同国も、実は随分以前は、そのコーヒーの生産がずっと盛んであった。

まだエチオピアやイエメンでしか、珈琲を作られておらずに、イスラム寺院の中での秘薬とされていたころ。十字軍がイスラムの悪魔の黒い飲み物といっていたころ、17世紀にババブータンというイスラムの僧侶が、メッカに巡礼に行った途中に、イエメンから7粒のコーヒー豆をひそかにインドに持ち帰った、要するにパクったことがその始まりとされる。

世界で3番目に珈琲を始めた、いわば歴史は相当に古い国だが、その後に襲ったサビ病の流行から、紅茶に転作した農家も多かったという、しかしインドは世界的にも第8位(2017データ)の生産量を誇り、特に南部では標高の高い山も多く、赤道の下とコーヒーを作るには万全の土地ともいえる。

そのうちの半数はロブスタで、残りがアラビカ種。アラビカ種の中には、インド独特のオリジナリティのある生豆も多く、有名なモンスーンという銘柄は、その昔にモンスーンと呼ばれる季節風に乗って船で運ばせたような味わいを現代に蘇らせた名作だ。

他にも南部のケララ州の方では、農園主が自然との共生、循環、サスティナビリティをコンセプトに、農園内にピッカーの方の子供の学校を作るような大規模な農園も。

一昔前には、インドに行くと価値観が変わるとまで言われたが、その歴史や文化の中に、昨今はBRICSとまで言われる世界有数の経済発展を経て、インドならではのダイナミズムで、これから消費国と生産国としても、中国と同じように、全く目を離せない超進化を遂げる国のひとつだろう。



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