支配からの、華麗なる脱出
 
「千の丘の国」と呼ばれるルワンダは、緑が多く、なだらかで美しい丘陵の多い内陸国。ベルギーによる植民地時代、ほぼ単一であった民族を、ツチ族とフツ族に分けて、対立の芽を植え付けたのが、この国の不幸な歴史の始まり。
 
また彼らの外貨獲得の政策として、各農家に70本のコーヒーの木の栽培を義務付けたのが、ルワンダでのコーヒーの始まり。当初はナチュラルの精製法が主流。
 
1980年代に、アフリカでの新興国のコーヒーへの参入を機に、グローバルなコーヒー商社は、コーヒー豆を極限まで買い叩き、農家が続々と破産する「コーヒー危機」が襲う。かつてベルギーが作った身分制では、フツ族は農家で働き、ツチ族は役人が多い。貧富の差が拡大し、紛争の芽が育まれた。
 
そんな憎悪があふれ出たのが、1994年のジェノサイド。人口730万人の内、約100万人がたった1ヶ月で亡くなり、250万人が他国に亡命した。 
コーヒーを作るどころではない、最悪の内戦を経て、新しくできた政権は、ベルギーの植民地支配の呪いから脱出し、急激な経済成長、今ではアフリカでも有数の治安の良い国に復権した。
 
そしてコーヒーは、ウオッシュドにその精製法を変え、高品質で、高く売れるスペシャルティコーヒーを作る環境に。アフリカで初めて「カップオブエクセレンス」開催国に選ばれるなど、ここ最近のアフリカの最先端を引っ張る存在。
 
植民地支配で作らせられ、買い叩かれたコーヒーではない、新しく香るスペシャルティコーヒー。
それは、新しく生まれた独立国家の復活の狼煙だ。



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