東日本一長い商店街、戸越銀座商店街

東京都品川区にあり、その全長は約1.3km、
約400件もの店が軒を連ねている、大きく長い商店街。

各地で「〇〇銀座」と呼ばれるような場所ができるようになった
先駆け的な存在の商店街らしい。

出来立てのコロッケやカレーパンなどを片手に
街歩きや、食べ歩きの風景などが
TV等でも頻繁に放送されている。

その影響もあり、周辺地域の方々だけでなく、
観光客や、色んな方々が訪れる、賑やかな商店街。

そんな商店街から一筋入ったところでオープンされた
こちらのお店。

爽やかな白い外観と、
入口横の外からもよく見える位置に、
NOVO MARKⅡがあるのが目印。


お店の名前は、
Caffe La Costa

COSTAはイタリア語で「海岸」。



こちらのお店は、カフェとしては珍しく「店内ペットOK」で、
オーナーご家族のワンちゃんも出迎えてくれる。

この辺りには店内に犬を連れて入れるカフェがなく、
ペットOKの表示はあっても、残念ながらテラス席限定とかで、
夏場、冬場、雨天時などにはやや辛い環境だそう。

「それなら愛犬と寛げるカフェを作っちゃえ!」と
こちらのお店を作られた。

Caffe La Costaのラインナップは、

オーナーのご友人でもある一厘(ICHIRIN)の、
北海道十勝限定のチーズケーキ、

じっくり熟成し、少し歯ごたえのあるモチモチの自家製パン、

そしてNOVO MARKⅡで焙煎される自家焙煎の珈琲。

パンもコーヒーも店内で焼き立て。
単なるドッグカフェの域は既に軽く超えられている。


お邪魔した際、先に寛いでおられたお客様は、
「この可愛いワンちゃんがお店の中に見えたから入ってみたのよ、
 お店の中に犬がいるカフェって珍しいわね」と、撫でながら話されていた。

一般的に、多くのドッグカフェは、
どこも目立つように大きく「ドッグカフェ」と表示をされ、
それを主張されることで集客しようとされている。

その為、ドッグ連れじゃない人にとっては
少々入り難いカフェだと感じられていることもあるだろう。

その点、Caffe La Costaは、
ロゴに犬のマークはあるものの、
ドッグカフェとしての主張がそれほど強くない為、
一般の方でも入り易い印象がある。

それは、このような形態のお店の中では
なかなか珍しい店作りのように思う。

訊ねてみると、
店舗のデザイン、設備・内装計画、ロゴマークまで、
すべてオーナーご自身がこだわって設計されたらしい。

きっとかなり計算をして造られたのだろう。

オープンされてから今日までの様子を店長に伺ってみた。

「ここ戸越銀座は、観光地でもありますが、
 下町っぽいというか、地域密着型の
 人情味の濃いエリアでもあります。

 ですので、一人ひとりのお客様ときちんと向き合い
 しっかりとコミュニケーションを取ることが
 とても大切な街だと思っています」

「オープン準備の時からも
 前を通ったご近所の方に声を掛けられることも多く、
 人と人との強いつながりを感じました。

 近頃は、柿とかミカンとか、
 鯛めしとか、カニカマサラダとか、
 色んな方々から差し入れもいただきます。

 お買い物前に立ち寄っていただいて、
 お買い物帰りにもまた立ち寄っていただくような事も多く、
 支えられていることを強く実感しています」

「自家焙煎をするにあたっては、
 つきっきりになるタイプの焙煎機だと接客が疎かになりますが、
 NOVO MARKⅡなら、自家焙煎をしながらも、
 きちんと目の前のお客様に集中することもできますし
 とても助かっています。

 NOVO MARKⅡは、通りすがりの方にも
 自家焙煎のお店だということをバッチリとアピールできますし、
 小さなお子様連れの方なども興味深々で見ていかれています」

「戸越銀座には焙煎豆を販売するところがわりと多くあって、
 周りには「コーヒーをお好きな方」が結構おられます。

 ただ、コーヒーはお好きでも、
 銘柄毎の、焙煎度合いで変わる風味などについては
 まだまだご存じない方が多くおられます。

 できれば皆さんに、シングルオリジンの華やかな香りや、
 焙煎度による風味の違いなども、
 こちらの店ではしっかりとご提案差し上げて、
 コーヒーの持つ風味の豊かさを知っていただけるように
 取り組んで行きたいと思っています」

店長は、開店準備中に感じられたことも、
開店をされてからキャッチされた需要なども、
常に考えられ、着実に実践されている。

そしてそれは、お店の営業時間にも表れているように感じる。

冒頭にも書いたように、
戸越銀座は周辺の方々だけが来る商店街ではなく、
観光客も訪れる商店街。

つまり、観光客も訪れる土・日・祝が
圧倒的に儲けどころ。

ところが、営業時間は、
月・火・木・金の10時~16時までで、
土・日・祝は現在のところ不定期営業とされている。

「当面の間は無理の無い範囲でやろうと思いまして」
とのことだが、恐らくは
地域密着型の店舗に育てていこうという姿勢の表れでもあるのだろう。

できたお店が “観光客相手のお店” だと地域の方に思われてしまうと
「自分達には関係が無い店」と、
地域の方々にそっぽを向かれてしまう可能性さえある。


観光客が比較的少ない平日を当面の間メインの営業日とすることで、
まずは地域の方々を中心に呼び込むことができる。

その間にしっかりと地域の方々との交流を深められれば、
観光客の増減に左右されない、地域密着型の、強いお店になっていく。

人情味の濃いこのエリアだからこそ、
まずはこちらの地域の一人ひとりのお客様と向き合う事を
優先されたに違いない。

観光客にもドッグカフェという文字にも頼らず、
品質とサービスに重きを置いて
この街にあったカフェを育てておられる真っ最中。

愛犬とでも、
フラッと一人で立ち寄られた方でも、
気軽に寛げる場所、Caffe La Costa

きっとこの地域の方々に永く愛されるお店になることだろう。

Caffe La Costa
写真・文責:東京ラボセンター 高島(ダイイチデンシ株式会社)
2019年11月掲載