頭の上がらないお客様、誰しも一人・二人はおられるはずだ。

私にとってのそれは、こちら銀座のtccカフェである。
tcc外観写真
シンガポールで28点舗の、
ちょっとゴージャスなカフェチェーン、

「tcc cafe」の日本第一号店。

tcc店内写真

こちらの3階に自動焙煎機「NOVO MARKⅡ」はある。

今では全国80台強(2016年9月時点)、
月に5台ペースで売れている「NOVO MARKⅡ」は、
発売当初は、その新規性と、
営業チャネルがあまりなかったことから、
細々と年間5台~10台ほどの販売にとどまっていた。

そこで、東京の展示会などに出展し、
焙煎機のサイトを立ち上げたところ、
新規性、目立つビジュアルであることから、
問い合わせを多数いただくことに成功した。

しかし、最も困ったのはそのクロージング、

「東京では、どこに入ってるんですか?」というご質問。
所謂 導入実績。

日本で売るにはこれが重要。

「そんな発売したところで、ありまっかいなー!(ガハハ)」
などというのは御法度だ。

「東京は…」

「…大船です。」(それ、鎌倉では?)
「…三鷹です。」(23区内じゃないの?)
「…とある研究所です。」(で、どこよ?)

お茶をハイスピードで濁しながらも、
京都から東京への営業に、苦心する日々。

ある日、
「ああー、銀座の四丁目あたりに
 誰かドカンと焙煎機いれてくれねーかなー」
と、メンバーと話すと、

「そういや、展示会でシンガポール系のカフェが、
 銀座のその辺にカフェを出したいと言ってましたよ?」
なんて言う。

マジか!
早く言ってよー!行くしかない!、と、お打ち合わせに行くと、
「東京には他にない」っていうのがいいね!
とGMと担当の方が言われて、決まった。

カウンター席

これはこの前「ノボのある風景」でも書いた、イノベーターだ。

 

さすがシンガポール帰りっすね!って言うと、
その人はハワイ帰りだったが。

マーライオン

そして深夜の搬入、銀座四丁目でNOVO を持ち上げながら、
よし、この店を宣伝に使いまくってやろう(ムフフ)と、
ひとり、にやついたのを思い出す。

 

「あ、東京すか?!まぁ、銀座?
 英語で言うと、シルバーシート?
 ど真ん中、四丁目交差点スグっす!」なんて感じで。

 

その野心を見抜きまくっていたGMが、
今度、開店の取材で、マスコミに宣伝しておいてあげるよ、
京都製のすごい焙煎機ってね、と言ってくれたり。

焙煎機ロースターグラス

それを日経が何を間違ったか、ドイツ製と書いたのには驚愕した

 

担当の方は、
いつでもウチをショールーム代わりに使って下さいよ!と、
実際に問い合わせのお客さんと行くと、
広い店内を、焙煎機前のテーブルを開けてくれ、
目の前で豆の焙煎をしたり、コーヒーをいれてくれたり。
メニューに、マシンの特長と写真をドン!と乗せてくれたり。

本当にお世話になっている。

購入しようとするお客様は、
ショールームで営業マンから聞くだけではなく、
実際にお店で使っている人の話をお客さんから聞きたいはずだ。
おかげで、10台以上はこの店のおかげで、決まった。

東京での導入数が飛躍的に伸び、
東京で見た人も、地方で導入されるなど、
今では、2ヶ月以上待ちの人気商品に。
まさに頭があがらない。

下げっぱなしで何も見えない、というやつ。

水出し珈琲機

 

こちらのtccカフェに行くと、いつも不安に思うことがある。
価格が安すぎないか、とうことである。

一番高いコーヒーは、1杯950円。
「え!高すぎだろ!」というご意見もあるだろう。

しかし、
それがハワイコナの
最高級エクストラファンシーの
シングルオリジン100%だとしたら?
(日本でここまでのクオリティはない。)

 

それが目の前で焙煎された新鮮なものだとしたら?

焙煎直後の珈琲豆

 

目の前で作られるサイフォンで、カップ2杯分、
たっぷりと入っていたら?

サイフォン

 

四丁目の景色を見ながら、窓際でくつろげるとしたら?

tccから眺める銀座

 

気に入った珈琲豆は、すぐに5分ほどで焙煎して、
販売してくれるとしたら?

店内で焙煎された珈琲豆を販売

 

余談ながら、先日、銀座の事務所で電気工事をお願いしたら、
120万と言われたように、銀座価格といわれるものがある。
(大阪で同じ事を頼んだら、12万であった。。)

ここは、そんな銀座のど真ん中、
しかしそれらを思わせない様なコストパフォーマンス。

担当の方に聞くと、
「でも、いっぱい飲んでもらいたいじゃないですか、
だってほら、美味しいから。また来てもらいたいですから。」

ブラボーである。

コーヒーだけではない、
やっぱりシンガポールから来たカフェなんで、
そんな料理も力を入れているとのこと。

どれも凄いクオリティ。
「美味しい」が過ぎている。

最初の頃は知名度から、時にはヒマそうにされていたが、
今は、いつ行っても多くのお客さん。

そんな時も、お電話しておくと、
焙煎機前の席をそっと開けておいてくれる。

tccにある焙煎機

銀座のおもてなしが詰まった、
シンガポールから来た、ゴージャスなカフェ。

この焙煎機を、自分の目で気にいってくれた、恩人のひとり。

担当の方は、社内稟議で、一番偉い人に大丈夫か?
ダイイチデンシ…?もっと普通の富士ローヤルで良くない?
と言われた時に、きっと戦ってくれたはずだ。

頭が上がらないお客さん、
いつかそんなお返しができるだろうか。

 

tcc Singaporean Café & Diner

 

文責:中小路(ダイイチデンシ株式会社 )
撮影:東京ラボセンター 高島(ダイイチデンシ株式会社)
2016年9月掲載