空中庭園から、問い合わせが来るとは思わなかった…
焙煎機の。
最近はNOVOの売れ行きが好調になってきたのを良いことに、
営業活動をしていない。
かつては専属の営業マンが2名いたが、
営業が超絶に下手な私に愛想を尽かし、いなくなってしまった。
そんな2年半前より、営業マンはゼロ。
エンジニアばかりの集団。
今は営業活動はせず、販売のご対応のみ。
具体的には展示会やイベント、ショールーム、テレビ取材、
或いはホームページのお問い合わせを待つだけの日々。
「待ってるだけの昨日に、アディオス!」と、
昔、X のhide(故人)が歌っていて感銘をうけた。
だが、時は経ち、
待ってるだけの焙煎機メーカーの代表をしているのである。
そんな2018年の正月明け。
ドイツにいた私に梅田のスカイビルを運営されている、
積水ハウス梅田オペレーション様から
お問い合わせをいただいた。
「スカイビルも25周年になり、
さらに洗練された空間で『魅せる』をテーマに
39階と40階の空中庭園のリニューアルを計画しています。
そこで、既存のカフェもリニューアルして、
近頃は自家焙煎が当たり前と聞き、
焙煎機をおこうと思いつきました。」
梅田のスカイビルと言えば、
高層ビルのない京都出身の私にとっては、
出来た時には、近未来そのもので、憧れの建物。
最近ではたまに映画を観に行くぐらいであったが、
そこの空中庭園からのお問い合わせ。
正月ボケの頭に少し光が差し、
まずは海外から、
メールで何度かやり取りをさせていただくことに。
「『魅せる』と『焙煎機』で検索すると、御社の
『魅せる焙煎機』というキャッチコピーが一番に出てきまして…
まさにこれだと思いました。
あと煙があまり出ないというのも、これしかないと。」
そして、帰国後、様々なご質問をいただき、
ご見学をいただき、お打ち合わせにも何度か足を運び、
(営業をしていないので時間は大いにある)
結果、担当の方にご信頼をいただけたようだ。
焙煎機、生豆の提供はもちろん、
自動のコーヒーの抽出器具、
エスプレッソマシン、
ウオータードリップサーバ、
コーヒーミルなどの器具から、
備品にブレンドの考案…
コーヒー全てを貴社にプロデュースして欲しいと、
有り難いご依頼をいただいた。
そして7月2日、無事にリニューアルオープン。
元からカッコよかった空間は、
度肝を抜かれるほど、洗練された新しさで溢れていた。
スカイビルの歴史を、空中庭園幻想と、
人と人のつながりをテーマに、アニメーションを公開。
壁には人々が建築を通して空への憧れを表現。
洗練された空間はまるで、博物館のよう。
そして、導入いただいた cafe SKY 40の店舗。
その最も目立つところに、焙煎機がある。
空中庭園展望台で踊る豆。
隣には約50種の世界のビール。
スカイビルの形のワッフル。
数多くのテーブルは自由に寛げる。
ただ休日にはいっぱいになるだろう。
昨年の来場者は150万人。
凄い数である。
屋上に上がると、そこはまさに空中庭園。
コスパとか、
ひとりあたりの単価いくらとか、お客様が何回転とか、
それほどは考えられていない、
来た人を感動させたい、
そんな一心で作られた、贅沢な空間がそこにあった。
その入場料は1500円。
しかし、その価値は十二分にあるだろう。
そこにあるものは本物の価値だからだ。
担当の方々と半年ほど打ち合わせさせていただいて、
気づいたことは、担当の方が自分たちでアイデアを出され、
私どものような会社をパートナーとして、
一緒に考えていただけることだ。
広告会社に丸投げしてしまえば、どこにでもある、
梅田のキタに集中しているビル群のひとつと
なっていたであろう。
入り口のアニメーション、
スカイビルの展示には、25年間の歩まれて来た歴史が、
自分の言葉で、詰まっていた。
広告代理店が、逆立ちしても作れない想いが、
そこここにポツンと置いてある。
いつかその価値が理解され、
サクラダファミリアにも並ぶ名所になるかもしれない。
数多くの外国人観光客に囲まれて、そんな夢を見る。
ご提案させていただいたブレンドはお蔭様で高評価のようだ。
ちなみに、
提案時には「バベルブレンド」という名であったが、
OPEN直前に「梅田スカイビルブレンド」と、
とても良識ある名前に変更された。
まぁそうですよね…(^^
ブレンドには、とてもインパクトある
スペシャルティコーヒーをふんだんに使っている。
これからは色んな国の特徴あるシングルオリジンの、
スペシャルティコーヒーも増やしていく予定。
バックヤードにお伺いすると、
皆さんオープンしたてと思えないほど、
和気あいあいと楽しくされていた。
あのブレンド、美味しいですよね、
なんて笑顔で言われると、
待ってるだけの焙煎機屋もつい笑顔になる。
担当の方も、とても忙しい筈なのに、
スカイビルの各所を色々とご案内していただいた。
こちらがそのうちのひとつ
絹谷幸二 天空美術館 タワーウエスト27Fにある天空カフェ。
こちらからの眺めも最高だ。
舞台裏まで素敵な、美しい舞台。
現代の人類の最先端。
そんなひとつのピースになれて、とても光栄だ。
こんな素晴らしい施設のコーヒーが、
もしも、そのへんのよくあるものなら、
とても違和感があっただろう。
担当の方が、既存のコーヒー会社のご契約を終えられて、
私たちに新たに任せていただいた、
生豆から目の前で焙煎することに、
こだわられたありがたみを噛み締める。
これからもより、最高の舞台で、
現代のコーヒーの技術を結晶したような味を、
お気軽に、笑顔でお届けできるよう、精進したい。
素敵なクライアント様との出会いが、私たちの始まりだ。
もっとご期待に応えようではないか。
いつか信頼という名のそれが、何層にも積み上がり、
スカイビルに負けない高みにいければとても幸いだ。
文責・撮影 中小路通(ダイイチデンシ株式会社)
2018年7月掲載