大阪市北区、堺筋通沿い、

タワーマンションやオフィスビルが立ち並び、
近くには大阪天満宮や中之島公園などの
行楽地もあるロケーション、北浜。
北浜ポート焙煎所の入口

そこに今年オープンしたばかりの、素敵な一軒のお店がある。

大阪 北浜ポート焙煎所
大阪 北浜ポート焙煎所

「やっとお客様の顔を見て、声を聞いて、
 好きな焙煎が出来る環境が整いました」

そう話していただいたのは、運営統括責任者の高橋さん。
焙煎機の前で語り始めた高橋さん
現在はこちらのお洒落で雰囲気のあるお店で、
自家焙煎した珈琲豆と、
テイクアウトコーヒーの販売をされているが、
昨年までは今とは別の場所で、ガス半熱風式の焙煎機を使い、
焙煎豆の卸業務をされていた。

新鮮なコーヒーから出る豊潤な香りが、とてもよく似合う空間。
新鮮なコーヒーから出る豊潤な香りが、とてもよく似合う空間。

高橋さんがそもそも自家焙煎をはじめた切っ掛けは
「 自分が美味しく飲むため 」だったそう。
スペシャルティ珈琲の生豆
「昔からコーヒーが大好きで、毎日飲んでいました。
 ある時からスペシャルティコーヒーを飲み始めたのですが、
 それが全くお財布に優しくなかったので、
 何かいい方法は無いかとはじめたのが、自家焙煎です」

飾られた小型の焙煎機が店内の雰囲気によくマッチしている
飾られた小型の焙煎機が店内の雰囲気によくマッチしている

小型の直火式焙煎機から含めれば、これまでにもう6台くらい、
焙煎機を使い込まれてきたとか。
小型の直火式焙煎機
「はじめは全然上手く焼けなくて、
 あれこれ思考錯誤しているうちに、
 気付けば業務用のガス半熱風式焙煎機まで行きついてしまい、
 購入することとなりました。笑」

「流石に家には置けないサイズの
 焙煎機を購入してしまいましたので、
 置ける場所を探していた時に、
 知人から設置できる場所を紹介してもらい、
 豊中市で焙煎を副業としてはじめました。

 するとすぐに大口卸の話が舞い込んできまして、
 それを機に副業から本業へとシフトしました」

趣味が仕事に、

傍から聞くとそれはまるで、理想のストーリーのよう。

 

でもそのストーリーの続きを聞いていくと
現実はそう甘くないものだと
思い知らされる。

ガス半熱風式について語る高橋さん
「ガス半熱風式の場合、基本的に焙煎時は焙煎機につきっきり、
 少しでもその場を離れると、
 思い通りの焼け具合にはならないです。

 一日に20回とか焼いていると、
 もう7時間とか、ひたすらずっと、
 焙煎機の前で立ちっぱなし、

 夏場とかはとくに体力仕事で、焙煎機の周り、
 どれだけ暑いか。。。

 暑過ぎて早朝か深夜にしか出来ないです。

 チャフの掃除も結構な手間で、中々面倒な上、
 少しサボると煙突が詰まってしまったり、
 ブワッ!!って上から吹き出して
 辺り一面チャフだらけになったり。。。

 あと、釜の回るシャンシャンという音、
 毎日何時間も聞いていると、耳の奥までこびりつくんです。

 これがまた結構苦痛で、もう寝る時でさえ
「シャンシャンシャンシャン」幻聴が聞こえたほどです。笑」

聞いているだけでしんどくなりそうな話。

ただ単に肉体的に辛いからというのを理由に
卸業務をやめられたのではなく、そこには高橋さんの
「珈琲」と「珈琲を飲む方」への強い思いがあった。

「本業としてはじめる前から、
 コーヒー豆のこと、そして焙煎のことを、
 死ぬほど勉強したんです。

 そうして得た知識を、
 飲んでいただくお客様にもきちんと伝えて、
 その良さも知っていただいて、飲んでいただきたい。

 でも、どれだけ必死に焼いても、
 卸業務だと、直接飲んでいただく方には
 一切説明が出来ない。

 今振り返ってみると、
 何よりこれが一番辛かったかもしれません」

ただひたすら豆を焼くだけの毎日に、
疲れと限界が見えはじめてきていたころ、
店主の玉井さんが、弊社の自動焙煎機NOVO MARKⅡを
見つけてこられた。

(店主の玉井さん、お写真は苦手との事で、ドリップ中にこっそり)
(こちらが店主の玉井さん、お写真は苦手との事で、ドリップ中にこっそり)

熱風式焙煎機NOVO MARKⅡ
「確かにこれならボタンを押すだけで、
 後は自動で焙煎できるから、
 焙煎しながらでも、きちんと接客もできる。

 チャフの掃除も
 チャフボトルを外してひっくり返すだけでいいですし、
 理想の焙煎機だと思いました。

 ただ勿論、

 ダイイチデンシまで見に行って、
 珈琲を飲んでから決めようとは、
 思ってました。

 何種類か飲んでみて感じたことは、
 とてもクリアに味が出ている、
 これならいける、でした。

 特にグアテマラは
 ガスの焙煎機時から結構焼き込んできたので
 良くわかるんですけど、
 NOVO MARKⅡで焼いたグアテマラは、
 とても良く焼けています。

 特にLV4(FULLCITYモード)で焙煎すると、
 コクがしっかり出て、
 苦味が出る手前の味が出せます。
 
 タンザニアもLV4でよくやりますね。
 少しだけ苦味が出て、深煎り独特の香りが丁度出はじめます」
高橋さんの焙煎風景
聞いているだけでしんどくなってくる話とは変わって
明るい表情でNOVO MARKⅡの使い勝手を話していただく。

以前に焙煎豆卸をされいてた場所は、
直接お客様が買いにくるような場所ではなかったので、
NOVO MARKⅡの購入を機に、人通りの多いこの北浜に、
移転を決められた。

ここまで聞くと、第一声の言葉の意味が、とても良くわかる。

北浜ポート焙煎所さんの店内 壁
こちらの北浜ポート焙煎所では、
テイクアウトのカップで使用する珈琲豆以外、
焼き置きを一切しない。

「ガスで焼いた時には数日エイジングしないと
 全然飲めなかったんですけど、
 この焙煎機で焼いた場合は
 すぐにでも飲めるものが沢山あります。
 ここでは焼いた直後に
 お渡しさせていただくようにしていますので、
 エイジングする時間がありません。

 NOVO MARKⅡで焼いて、
 エイジングの必要が無いと判断した豆だけを揃え、
 お客様の目の前で焙煎をするか、
 先に予約を頂いたお客様だけに、
 焙煎豆を販売しています」
可愛い珈琲豆袋
近隣の方々にも「近くに出来たから嬉しいわぁ」と喜ばれ、
既に何度も足を運んで頂けているとのこと。
この地にも着実に浸透しはじめている。
通り沿いに設置された焙煎機NOVO MARKⅡ
無事移転を終えられ、
軌道に乗りはじめた北浜ポート焙煎所さんの
「これから」を尋ねてみた。

「今一番に思っているのは、
 これから独立するバリスタ達を応援していきたいですね。

 ここなら
 その人の為のオリジナルブレンドも簡単に作れますし。
 大手には出来ない機動力と小回りの良さで、
 きっちりサポートしていきたいです。

 それと、色んな珈琲の楽しみ方とかを提案していきたいです。

 少しだけお酒を入れてみたり、
 花びらを入れてドリップしてみたり、
 もっと珈琲の色んな楽しみ方があっていいと思っています。
 ここではそんな楽しい珈琲も広めていきたいです。」
珈琲豆屋さんに置かれたアルコール類

「あとは、色んな業種の方とのコラボですかね、

 今度、折り畳み自転車屋さんともコラボするんです。
 これからも珈琲を通じて
 色んな方々と直接触れ合っていきたいです」

長年の経験から導き出したこの今のスタイルは、
多くの方々との、出会いと、ふれあいを楽しむために、
行きついたスタイル。

この一杯のカップには、
「珈琲」と「珈琲を飲む方」への強い思いが込められている。
カップを差し出す高橋さん

北浜ポート焙煎所

文責・写真:東京ラボセンター 高島(ダイイチデンシ株式会社)
2017年4月掲載