淡路島でNOVOを見たといわれることが多くなってきた。

淡路島で。

他にどんな特徴あるか、ちょっと言ってみてよー。


そう、淡路島には北端と南端に2台、ご導入店さまがおられ、
どちらも注目のお店になられている。

南端のGiro d’Awajiさんは、
有名な自転車レース「Giro d’Italia」のオマージュからつけられた店名の通り、
今や淡路島のトレイル好きの方の聖地のひとつにもなっている自転車×珈琲のお店。
最近はアーモンドの焙煎もされて、自転車×珈琲×アーモンドで、ますます有名に。


そして北端。
お店がめちゃお洒落で、ユニークな女性オーナーのお店 と言われると、
あぁ、と思い当たる。

すぐわかるやん、それ、春藤珈琲焙煎所 さんとちゃうか、と。


OPENされたのは2018年、その後、しばらくご無沙汰していたが、
様々なところで噂になられているのをうかがいつつ、
2020年秋、コロナ禍第二波が少し収まったころ、四国に納品にいった帰り道、
久しぶりにお寄りした。

入店すると、おしゃれな内装は相変わらずも、
カウンター席が並ぶ喫茶コーナーは、カーテンが下がり、半分クローズ。
珈琲豆の販売をメインにされ、テイクアウト主体のお店にされていた。


「コロナ禍だから、仕方ないんですけど」
とはオーナーの春藤さん。

「珈琲の仕事に集中できるのは、良い機会かも。」
ちょっといたずらっぽく笑われる。

春藤さんは淡路島出身の方ではない。
もともとはご主人の淡路島への転勤がきっかけ。

単身赴任されたご主人が、あまり外食するところも少ないと聞き、
じゃあ私も淡路島に行って珈琲屋さんをやりたいと、ご主人に相談され、
色々と模索された結果、なんと毎日、本州の方より、
淡路島へ明石大橋を渡り、朝は船、夜は高速バスで通われている。

「でも毎日の通勤費もばかにならなくて」と笑われる。

面白い話はいっぱいしてもらったが、あまりお店の自慢話のようなことはされなかった。

しかし、店を見渡すと、
春藤さんの心配りともいえるコーヒーマジックがそこここにあることに気づく。

並ぶラインナップは15種、厳選されたスペシャルティコーヒー。

NOVOを導入いただいたということは、もちろん鮮度をとても大切にされている。




そして、お店の内装にもこだわられ、この人!と決められたデザイナーさんにお願いされ、
当初の予定より1年ほど長く、お店の完成を待たれたようだ。





さらに特筆すべきは、珈琲豆だけでなく、その全種類がそろうドリップバッグ。

店頭販売以外にもされているが、それらはご注文があってから、全て手作りされている。
鮮度抜群のコーヒー豆自体が珍しい中、
鮮度が抜群のスペシャルティコーヒーのドリップバッグ。これはなかなかない。

地元の方だけでなく、観光で訪れる人にも、
パッと島に来られた単身赴任の人も、気軽に珈琲を飲めるように、そんなお心遣いである。

単身赴任されていたご主人の話からヒントを得られたのかもしれないし、
実際のお客さんのお声だったのかもしれない。

しかし、ドリップバッグを工場のマシンで作るのではなく、ひとつひとつ手作りで、
しかもできるだけ鮮度のあるものを、というのは、とても手がかかる。
アイデアだけで終わらない実行力があってこそ。

「東京にもこんな美味しい珈琲はなかったと、喜ばれることも多いんです。
 だから手を抜けない」
とは春藤さん。

そして銘柄のこだわりも人一倍。

弊社がお出ししたサンプルをひとつずつ吟味いただき、
これ!と思われたものだけをセレクト。
スペシャルティ中のトップスペシャルティなのに、意外とリーズナブルな価格設定。

「だからそんなに儲からないんです」と笑顔の春藤さん。

ご紹介記事は、こんなに儲かっておられるんですよ、という記事にしたいのは筆者の下心。
ここは食い下がる。

儲かっていないのに、こんなに話題になっているわけがない。
儲かっていないという人は、実はけっこう儲かっているのが真理で、逆もまた然りだ。
本当は、儲かっているのでは?

税務署40個分のヒアリング力でさらに聞いてみる。


「いや、こだわりすぎていて、本当にそんなに儲かってないですよ」と春藤さん。
 残念そうな顔をする私に、
「でも、赤字の月は一回もないですけどね。
 もちろんコロナ禍でも、ずっと黒字はキープです。」とニッコリ。良かった。

聞けば、噂を聞かれた大きな会社からも、
コーヒー豆の卸のご注文がたくさん入られていた。

もちろん、それらも注文があってから全部作られている。

近頃はドリップバックギフトのご注文も島内外からたくさんあられ、
まさにひたすら作り続けているとのこと。

今月末には淡路島の新しいお土産として、
ドリップバッグが雑誌にも掲載されるご予定とのことで、
ますますお忙しい日々になられそうだ。



本州から毎日通われている春藤さんが、
昼間こちらで作業を出来る時間は限られている。

その僅かな時間ででも、生豆から焙煎し
ドリップバッグ作りができているのは、
NOVO MARKⅡだからこそ出来ることだろう。



それにしても春藤さんはいつも楽しそうだ。

≪Instagram @shundo_coffee より≫


大量注文を作り置きせずに、新鮮なものをひとつずつ手詰めなど、
大変そうなことも、とても楽しそうにやられている。

選び抜いたスペシャルティコーヒーを使い、
ドリップバッグの鮮度にまでこだわられている。

きっとご自分で決められたルールだからだろう。

他にない価値を作られているという楽しさと、
それを飲まれたお客様に喜んでもらいたいという想い。

春藤さんから、いろんなお客様の話を聞くうち、
NO BORDERで、誰しもひととき立場を忘れて、珈琲談義もできる、
そんな楽しめる場所であってほしいと願われているのが伝わってくる。


人はいつしかしがらみが増え、どこかに所属、自由度が減っていくようだ。
就職したり、結婚したり、子供ができたり、町内会に入ったり。
しかし春藤さんは自由な雰囲気がする。
ご主人の転勤を機に来られた土地で、お店をやられて、
そして夜には戻られる。自分のルールで、お客様に接せられている。

「それほど儲かっていない」とよくいわれるのは、
「ただ儲けるためにやっているんじゃない」という気概ではないだろうか。

春藤さんは少しシャイでサービス精神が旺盛な方、
歯の浮くような自慢話、自分話などされるわけもないが、
きっと、誰かに喜んでもらうことで、やりがいを得て、
人生を楽しまれるために、やられているのだろう。
毎日、明石大橋を船に、バスに揺られて、往復されながら。


スペシャルティコーヒーの珈琲豆屋さんは、
とてもやりがいのあるお仕事だと私も心から思う。
いろんな方に珈琲の持つ香りのマジック、
癒しの力を伝えられている、まさに島の伝道師。

誰しも、癒しの力は必要だ。ましてやこんなコロナの世の中。
そしてある時、東京から淡路島に転勤されてきた大企業の方にも、
ほっとできて、楽しめる場所や時間がきっと必要だ。




NOVOを見たって、おかんがいうてるねん。
ちょっと特徴を言ってみてよー。
なんかみんな楽しそうやったって。
それは… 春藤珈琲焙煎所やないか。


たぶん、地元にはない、
スターバックスでは味気ない。

淡路島の北にある珈琲専門店は、
心がふっと軽くなって、自由な香りがする。


たった一枚のドリップバッグからも。

春藤珈琲焙煎所
文責・撮影:中小路通(ダイイチデンシ株式会社)
2021年4月掲載