降り立ったのは静岡県

JR三島駅

駅のロータリーでは
本日お邪魔する先のオーナー 岡田さんが
『真っ赤なミニ』で迎えにきてくれていた。

岡田さんとはじめてお会いしたのは、2016年 秋、
弊社の東京ラボセンターにお越し頂いた時の事だった。

NOVO MARKⅡの事は、有楽町の無印さんに置いてあった時に知られ、
製造元をネットで調べられ、当ラボにお越し頂いた。

お越し頂いたその日は、性能や操作性の確認される為のようだった。

無印良品有楽町店設置時の写真。2017年4月、シエスタハコダテ店オープン時に函館へ移設

その時の岡田さんは、半導体やソフトウェア等を扱うお仕事をされておられたが、
いつか自分がコーヒーのお店を持つときの為に、
今は色んなところで情報を集めていますと、仰っていた。

そして、その時にはこうも仰っていた。

「このNOVO MARKⅡを、エアストリームっていうキャンピングトレーラーに積んで、
 全国の色んな場所へ出かけて焙煎して回ったら、何か面白そうだと思いませんか?」



それから半年もしないうちに、
エアストリームご購入の一報を頂く。

宇宙船のような流線形のフォルム

無塗装のアルミニウムで造られた
キャンピングトレーラー

AIRSTREAM(エアストリーム)。

コンディションの良いUSEDモノをアメリカで買い付けられ、
はるばる海を越え、やってきた。

開いたドアの向こうに見えているのは

焙煎機 NOVO MARKⅡ。


カラーはホワイト。

岡田さんは、
NOVO MARKⅡ史上初となる
車載型店舗を造られた。

今は「COFFEE&CO.」のオープンに向け、ご準備中とのこと。

早速車内をご案内いただく。

ワンルームマンションのキッチンよりも立派そうな
水回りから

自分で作ったブレンドで
コーヒーを頂くことが出来るカウンター

焙煎機と、最後尾には生豆の貯蔵庫。

貯蔵庫内には専用のエアコンが付いていて

常に一定の温度に保たれ、
保存状態は良好。

品質管理もバッチリされている。

焙煎機を搭載したエアストリームを引っ張るのは
駅まで迎えに来てくれた、赤いミニクーパー コンバーチブル。

補強を入れ、
牽引する為のヒッチボールが取り付けられている。

このコンパクトな車で、宇宙船のようなエアストリームを引っ張って回ったら
街中の注目を浴びまくる事は、間違いないだろう。

岡田さんに車載案のお話しを頂いた時は、車載した例がない為、
排煙口や電源の引き方、車載する際のドアの幅など、不明な点ばかり。

岡田さんとは度重なる打合せを行わせていただき、
NOVO MARKⅡにはカスタマイズをし、
なんとか無事、納品させていただくことができた。

岡田さんは、NOVO MARKⅡを積み込んだエアストリームで、
お客様一人ひとりの好みに合わせたブレンド作りをして回りたいという。

ただ、「好みに合わせて」ブレンドを作るというのは、容易では無い。

産地や農園、品種や精選方法、それぞれの豆の個性を把握し、
焙煎度合いによる風味の違いを理解している人でないと、
ブレンド後の味を、コントロールする事は出来ない。

好きな豆と好きな豆を混ぜ合わせてみたら美味しいブレンドができた、
というようなレベルの人では全然話しにならないし、
根拠のない自論垂れまくりのようなええ加減な人にも、
ゼッタイに出来ることではない。

だが、

ここでブレンド作りをされる岡田さんは、
「Qグレーダー」の資格を持っておられる。

「Qグレーダー」とは、

SCAAが認めた基準・手順で正しくコーヒーの評価が出来る資格。
味覚や嗅覚、知識において、厳しい審査をクリア出来た方のこと。

世にあるスペシャルティコーヒーの、スペシャルティか否かの判断は、
この「Qグレーダー」によって評価されていて、
日本だけではなく、世界で通用する資格の為、易々と取れるものではない。

つまりは、

Qグレーダーの岡田さんだからこそ、
ベストマッチなブレンドを、作り出せる。

岡田さんは言う。

浮ついた売り手にはなりたくないと。

「ネットとかで豆がバンバン売れたらいいとかも全然思ってなくて
 一番提供したいものは、自分の好みの味を見つける『体験』なんです。

 一般の人達からすると最近のコーヒーって、
 一昔前までは、ホットとか、ブレンドとか言っていたのに、 
 なんか気付いたら突然「シングルオリジン」とか言われはじめて、

 何それ何それ~って 興味持ってオシャレな店に入ってみたら、
 いきなり超浅煎りの酸っぱいやつが出てきて、

 えっ?? これって美味しいの?って、感じるんだけど、
 これがサードウェーブだ!みたいな顔で出されたら
 ハハァ~、美味しゅうございます〜、って言うしかないよね… 苦笑

 って人が、わりと多い気がしているんです。

 なんか美味しくないって言えない雰囲気に流されてるだけなんじゃないのかなって 笑」

「少量からでも安定して焙煎が出来るこの焙煎機があれば、
 お客様の好みを聞いて、味を寄せていく事ができる

 こういった電気式の焙煎機は、
 次のスタンダードになると思います。

 10年後も勘を頼りに火力で焙煎しているとは、ちょっと考えられないですし、
 今後、道理的には、きちんとデータを元にして再現性を高めるために、
 電気で安定的にカロリーを与えていくようになっていくはず、

 その上で、現時点でベストな選択をするとしたら、
 NOVO MARKⅡになると思います」

「この技術力を使って、僕はここにお越しいただいたみなさんに
 美味しいと思うコーヒーに出会うまでの、素敵な体験をしていただきたい
 僕はその体験をしていただく為の、お手伝いをする人になりたい

“世界一おいしいコーヒーは、飲む人の数だけある”

 美味しいと感じる珈琲は、ひとそれぞれで良いと思います。
 
 好きは好き、嫌いは嫌いで、
 お高くとまってない、ちゃんとしたコーヒーの文化を
 ブレンドを作るという体験を通じて、僕は広めていきたいと、思っています」

終始感じるのは、
『お客様に味の押しつけをしたくない』という想い。

その想いは珈琲だけにとどまらない。

パソコン、3Dプリンター、レーザーカッターまで積み込まれてあり、
お客様のご要望に合わせて、コーヒー豆を包むパッケージまでも
その場で作り上げることが可能となっている。

少し乱暴な言い方にはなるが、一般的に珈琲店は、

・予め作っておいた物の中から好みに近そうな物を選んで提供するか
・ウチの店のコーヒーはこれだぜ!と、押し付けるかの、どちらか。

岡田さんがこれからされる事は
そのどちらでも無い。

一人ひとりの好みに合わせ、確かな知識でブレンドしてくれる。

この、一台のキャンピングトレーラーはきっと
一杯の「美味しい」と感じるコーヒーに辿り着く体験を
各地に運んできてくれる。

真っ白な焙煎機を載せて。


COFFEE&CO.

文責・撮影 東京ラボセンター 高島(ダイイチデンシ株式会社)
2018年1月掲載