「震度6強でも、何ともなかったですよ!
耐震性抜群の焙煎機って、さらに売れるんじゃないですか?」

と、オーナーの上林さんが明るく言われる。

2016年4月14日。
何ともなかったように言われるが、
物凄い揺れを経験されたのは間違いない。
お家の方は、続く16日の地震で相当ムチャクチャになったと。

2015年夏よりオープンされた
BLS Coffee Atelier(BLS コーヒーアトリエ)」さん。
オーナーの上林さんが奥様と、地元の熊本で、
スペシャルティ珈琲豆の自家焙煎店を、と始められたお店。

BLS coffee atelier0

こだわりは3つ。

1、産地や農園にこだわった生豆を揃える。

スペシャルティやシングルオリジンはもちろん、
ハワイコナ、イエメン、ブルーマウンテンNo.1、ゲイシャ…
他には絶対無い様な希少なものも多くあり、
それをストレートで、贅沢に100%で味わう。

2、鮮度。オーダーをお聞きして5分ほどで焙煎したての豆を。

3、酸味、苦味、甘み、お好みに合わせ、焙煎度を変える。

お客さんの好みにあわせた、
素晴らしい珈琲のアトリエ(Atelier)だ。
喫茶コーナーも充実で、その珈琲を気軽に楽しめる。

BLS coffee atelier3

ちょうど熊本地震の直前にもお邪魔していたが、
幸いなことに、無事、今も変わらずに営業されている。

BLS coffee atelier1

家の方は、中もムチャクチャになってしまったけど、
家族全員無事で、頑張って営業していきますよと、力強い。

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被災されながら、避難所にも珈琲をお持ちになっているという。

「売名とかいう人もいるって聞いたけど、地元で、
元気になってもらうのに、珈琲配っても別にいいでしょ?」

と、焙煎したての珈琲をどんどん配られている。

珈琲の華やかな香りは、
まるで日常が戻ってきたようだと、避難所の方に大人気らしい。

時に、誰かの傷ついた心を癒す、
一生、忘れられない珈琲になるかもしれない。

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珈琲は気持ちを鎮めたり、
時にやる気をおこさせたり、人の心に訴えかける。
マジックのある飲み物。

珈琲で、熊本のために何かできることはないだろうか、
と本気で考えられている。

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Pray For Kumamoto
祈るだけでは、きっと何も起こらない。
手探りで走りながら、祈る。
新しい挑戦は、はじまったばかり。

帰り際に、オーナーの奥様から
急いで買いに行っていただいたであろう、お土産をいただいた。
最初に行かれたお店は被災されて閉まっていて、
二軒目、うまく開いていたって。

まさかお土産をもらって帰ることになるなんて。
自分に出来る事は、何だってやろう。
そんな気持ちにさせる。

本物の珈琲を出す、気持ちのこもったお店がここにあるから。

文責・撮影:中小路通(ダイイチデンシ株式会社)
2016年5月掲載