そのエッジが効き過ぎた店は、広島市内にある。

最寄りのJR新井口駅から、
お好み焼き屋さん4軒分(徒歩10分)ほど歩くと、
まるで映画「トレインスポッティング」に出てきそうなお店が
突如現れる。

クアドロフェニアの外観

気になる。けど、入りにくい。そんなたたずまい。

「あの、お客様、大変申しあげにくいのですが、
 お近くの、最大公約数的な商業施設に行かれた方が、
 安心してお買い物が出来ますよ…」そんな店構え。

勇気を出して入ると、
一見コーヒー屋さんとはおもえない、ブリティッシュな趣き。

センスの良いBGMが流れる店内

BGMは洗練されたアパレルのお店みたい、カッコいい。
それもそのはずで、こちらは色んな顔を持つ店だった。

店名は、クアドロフェニア。
チーズが四種類乗ったピザのことではない。
お聞きすると、四重人格という意味らしい。

クアドロフェニアショップカード

コーヒーロースター。
カフェ。
スパイスから作るカレー。
夜はPUB。

見事に四つの顔を持つ、その店主のミッキー氏は、
いわば、ジキルとハイドの、さらに倍。

朝の仕込みから、夜のPUBタイムまで。いつ寝られているのか、
不思議なバイタリティーの持ち主である。
ちなみに日本人。

そもそも、
俺のコーヒー、俺のカレーが一番、と言われても
おかしくない店構え、

しかし、氏は全国のコーヒー屋さん、カレー屋さんを
時間を割いては、研究に廻られる。とても研究熱心な方だ。

しかも社交的。

勇気を出して、お店に入ってきた人にとても親切、優しい。
二年と少し経った今、5月13日には、
近くに二号店を出されるというのも納得である。

最高の珈琲

実は、
超有名なコーヒーチェーン店の店長をされていたこともある。

いわばコーヒービジネスのプロ中のプロだ。

ズラっと並んだコーヒー生豆

それがある時、お金を儲けるだけのコーヒー店じゃなく、
もっと面白い店をしたい、そう思われて、資金を貯められて、
クアドロフェニアを開かれた。

コーヒーの超優等生が、突然グレた。そんな印象だ。

その時に導入いただいたのが弊社製の焙煎機、
NOVO MARKⅡ。

店内に置かれたNOVO MARKⅡ

生豆から自分で焙煎したい、
ありきたりの豆が本社から送られてくるだけじゃ満足できない、
とばかりに。

NOVO MARKⅡは、
今でこそ120店舗ほど(2017年4月時点)導入いただいてるが、
当時はまだ30店舗ほどしか導入実績がない頃。

インターネットで見つけていただいて、お問い合わせいただき、
出雲へ納入に行ったあとの帰り道に、広島でお会いした。

もしかして、広島で一台目ですか?と聞かれた氏の表情は
凄くキラキラしていた。

中四国でもまだ2台しか売れてないと言うと、
購入をスパン!と決められた。

大企業さまが稟議書を回している間に、
もう店は出来た。
お洒落な空間

オープンされて気づけば二年ちょっと、
いつ行っても美味しいというより、行くたびに進化している。
特に今回はカレーのクオリティが半端なかった。

コーヒー屋さんはプロ中のプロであられたが、カレーは独学で。
スパイスを取り揃えられているが、
こんな味にはどうしたらなるのだろう。
ネパール人やインド人のお店のともまた少し違う。

独学のカレー

スパイスは現地でも、そのブレンダーは日本人らしく、
繊細な味。

もしかして、
コーヒーのブレンドと焙煎と関係あるのかもと思って聞くと、
「カレーのスパイスもいわばフライパンで煎る、
 いわば焙煎ですし、凄く似てますよ」とミッキー氏。

さすが、色々廻られて、努力されてますよね。と言うと、
努力なんか全然してないんですよと、ミッキー氏。

「カレー屋さん廻るのが好きなだけなんで。コーヒーも一緒で。
 努力じゃないんです。
 好きなことやってるだけなんで…ラッキーですね。

 ただ、
 こだわりすぎちゃって…
 前のお店ほどは儲かんないんですけど、
 好きなことは、ついやり過ぎちゃうね。」

いつもサクっと名言を言うミッキー氏、
四重人格という店名なのに、いつ来てもブレない。
自分が納得できる、楽しめることを一所懸命やる、
そんな覚悟が、店のたたずまいにあらわれているようだ。

勇気をだして入ったら、もう他には行けない店、それが
クアドロフェニア。
中毒性が高い、4人編成のバンドみたい。

来たお客さん全員に好かれる必要なんてない、
コアなファンが一定数いれば、景気がどうとかでは、潰れない。

そんなことを改めて実感する。

お店が無くなるとしたら…
それはミッキー氏が楽しめなくなった時かもしれない。
もしかしたら、氏が飽きないように、
四種類もあるのかもしれない。

いつかビートルズみたいな、そんな伝説のお店になるために。
紅い外観 クアドロフェニア
クアドロフェニア

文責・撮影 中小路(ダイイチデンシ株式会社)
2017年4月掲載